作文が苦手な子のための、書き出しから完成までの5ステップ

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「何を書けばいいかわからない」が、実は一番解決しやすい悩みだった

作文の時間になると、鉛筆を持ったまま固まってしまう子がいる。原稿用紙を前にして、ため息をついて、気づけば10分が過ぎている。そういう場面を見ていると、「書くのが嫌いなんだ」と思われがちだが、実はそうじゃないことが多い。

話を聞いてみると、言いたいことはちゃんとある。昨日の出来事、好きなゲームのこと、友達と笑った瞬間のこと。頭の中には材料がちゃんと詰まっているのに、それを「文章にする」という入り口で詰まってしまっている。つまり、問題は「書くネタがない」ことじゃなくて、「どこから手をつければいいかわからない」ことにある。

これは大人でも同じで、白紙に向かって「さあ書こう」と思った瞬間に頭が空っぽになる感覚は、誰しも一度は経験したことがあるはずだ。入り口さえ見つかれば、あとは思いのほかスムーズに進む。作文が苦手な子に足りないのは、文章力でも語彙力でもなく、「最初の一手」を見つける方法だったりする。

「苦手」の正体を少し細かく見てみる

ひとくちに「作文が苦手」といっても、その中身はいくつかに分かれる。何を書くか思いつかないタイプ、書き始めはできるけど途中で止まるタイプ、最後まで書けるけど読み返すと自信がなくなるタイプ。それぞれ詰まるポイントが違うので、同じ対処法がすべての子に効くわけではない。

ただ、多くの場合に共通しているのは「最初の一文」の壁だ。ここを乗り越えられると、残りの部分はぐっと楽になる。逆に言えば、この壁だけを意識して取り除いてあげることが、作文サポートの出発点になる。

「うまく書こう」という気持ちが、手を止めさせている

書き出せない理由としてもうひとつよく見られるのが、「うまく書かなきゃ」という意識だ。先生に読まれる、評価される、赤ペンが入る、という経験が積み重なると、書く前から「失敗したくない」という気持ちが先行してしまう。そうなると、頭の中で何度も文章を作りなおして、結局何も書かないまま時間が過ぎていく。

完成度を求めるのは決して悪いことではないけれど、まだ書いていない段階でそれをやろうとすると、動けなくなる。作文が苦手な子に必要なのは、まず「書いてみる許可」を自分に出すことかもしれない。うまくなくていい、消してもいい、という前提で鉛筆を動かす練習が、意外と大きな変化につながっていく。

「何を書けばいいかわからない」という言葉の裏には、こういった複数の悩みが重なっていることが多い。だからこそ、その言葉をそのまま受け取るのではなく、「どの部分で止まっているのか」を一緒に探してあげることが、最初のステップになる。

書き出しさえ決まれば、あとは自然と言葉が続いていく

作文を書くときに最もエネルギーがいる瞬間は、実は「最初の一文を書くとき」だ。そこを乗り越えると、不思議なことに次の文、その次の文と、言葉が続きやすくなる。川の流れに似ていて、水が動き出せばあとは自然と下へ流れていく。止まっているときが一番重くて、動き出してしまえば勢いがつく。

これは感覚的な話ではなく、書くという行為の仕組みとして説明できる。文章を書き始めると、頭の中で次に言いたいことが自然と浮かびやすくなる。最初の一文が「引き金」になって、眠っていた記憶や感情が動き出すイメージだ。だから、書き出しに時間をかけることは決して遠回りではなく、むしろ作文全体をスムーズに進めるための一番の近道になる。

書き出しは「うまい文」じゃなくていい

書き出しというと、読み手を引き込むような格好いい一文を想像する人もいるかもしれない。でも子どもの作文において、そこまで考える必要はほとんどない。「わたしは〇〇が好きです」「きのう、〇〇がありました」という素直な一文で十分だ。

大切なのは、その一文が自分の言葉で書かれていること。借り物の表現や、どこかで読んだような言い回しを無理に使おうとすると、そこでまた手が止まる。自分がそのとき感じたこと、思ったことを、思った通りに書く。それだけで書き出しとして十分に機能する。

むしろシンプルな書き出しのほうが、次の文につながりやすい。「わたしは〇〇が好きです」と書いたら、次は「なぜなら〜」と続けたくなる。「きのう〇〇がありました」と書いたら、「そのとき〜」と場面を広げたくなる。書き出しが素直であるほど、続きが自然に出てくる。

「場面」から入ると、言葉が出やすい

書き出しに迷ったとき、一つ試してほしい方法がある。それは「場面」から入ることだ。「いつ・どこで・何をしていたか」という具体的な状況を、まず一文で書いてみる。「学校の帰り道、急に雨が降ってきた」「体育の授業でドッジボールをしていたとき」こういった書き出しは、情景が浮かびやすいので次の文が出やすい。

感想や意見を最初に書こうとすると、言葉がまとまらないことが多い。でも「あのときの場面」を思い出すように書き始めると、記憶と感情が一緒についてくる。作文は「考えたことを書く」だけじゃなくて、「あのときのことを再現する」感覚で書いてもいい。その方が子どもにとって自然に書けることが多い。

書き出しの一文は、読み手のためだけじゃなく、書き手自身のウォームアップでもある。その一文を書くことで、自分の記憶や気持ちのスイッチが入る。だから、完璧な書き出しを探すより、まず何か一文を書いてみることの方がずっと大事だ。書き出しさえ動けば、あとはそこから引っ張られるように言葉がついてくる。

5つのステップで、「書けた!」が体験できる

作文が苦手な子に「とにかく書いてみて」と言っても、なかなか動けないことが多い。何をどの順番でやればいいかが見えていないと、白紙の前で立ち止まってしまう。だから大切なのは、ゴールまでの道筋をあらかじめ見せてあげることだ。「次にこれをやればいい」という手順が明確になると、不思議と鉛筆が動き始める。

ここで紹介する5つのステップは、文章を書くことへの苦手意識を持つ子が、最後まで書き切るための順番として組み立てたものだ。特別な才能も、豊富な語彙も必要ない。一つひとつの手順を踏んでいくだけで、「書けた」という体験に近づいていく。

ステップ1:書くネタを声に出して選ぶ

最初にやることは、書く内容を決めることだ。ただし、いきなり紙に向かうのではなく、まず声に出してみる。「最近あったこと」「好きなもの」「びっくりしたこと」を口に出して3つ挙げてみて、その中から一番話しやすそうなものを選ぶ。書くより話す方が気楽にできる子は多いので、このひと手間が次のステップをぐっと楽にする。

ステップ2:思い出せることを箇条書きにする

テーマが決まったら、そのことについて思い出せることを、文章にせず箇条書きでメモする。順番も文法も気にしなくていい。「雨だった」「転んだ」「泥だらけになった」という断片で十分だ。このステップの目的は、頭の中にあるものを外に出すことで、「書くネタがない」という感覚を解消することにある。

ステップ3:箇条書きを並び替えて流れを作る

メモが出そろったら、それを「どの順番で書くか」を考える。時間の流れに沿って並べるのが一番わかりやすい。「最初にこれがあって、次にこうなって、最後にこう思った」という順番が見えると、構成が自然と決まる。難しく考えなくていい。出来事の順番通りに並べるだけで、立派な構成になる。

ステップ4:最初の一文だけを書く

ここからいよいよ文章を書く。ただし、最初は「一文だけ書く」と決めてしまう。その一文が書けたら、次の一文を書く。「全部書かなきゃ」と思わず、今書くのはこの一文だけ、という意識で進める。これだけで、白紙への恐怖がかなり薄れる。第2部で触れたように、一文動き出せば次の言葉はついてきやすい。

ステップ5:書いたものを声に出して読み返す

書き終えたら、黙読ではなく声に出して読み返す。耳で聞くことで、文章のリズムのおかしさや、意味が通じにくい箇所に自分で気づきやすくなる。赤ペンで直す前に、まず自分で「なんか変だな」と感じる練習をすることが、長い目で見て文章力につながっていく。

この5つのステップは、作文を「一気に書くもの」から「順番にこなすもの」へと変える。「書けた」という達成感は、次に書くときの自信になる。一度その感覚をつかめると、白紙への向き合い方が少しずつ変わっていく。

最初の一文を書いた日から、作文への向き合い方が変わる

作文が苦手だった子が、ある日を境に「書くのが嫌じゃなくなった」と言い始めることがある。劇的な変化ではなく、ほんの小さなきっかけだ。たいていそのきっかけは、「自分で最後まで書き切れた」という経験だったりする。上手に書けたかどうかより、書き終えたという事実が、その子の中で何かを変える。

苦手意識というのは、失敗や「できなかった」の積み重ねでできている。だから崩すときも、一気にではなく、小さな「できた」を積み重ねていくしかない。作文においてその最初の一個が、自分の言葉で書いた最初の一文だ。うまくなくていい、短くていい、その一文を自分で書いたという事実が、次への足がかりになる。

苦手な子ほど、実は伝えたいことを持っている

長年作文を苦手にしている子と話すと、言葉が出てこないどころか、むしろよく喋る子が多いことに気づく。話したいこと、面白いと思ったこと、納得いかないこと、たくさん持っている。ただそれを「文章にする」という変換の部分で詰まっているだけだ。

だとすれば、必要なのは「もっとたくさん書く練習」よりも、「話していることを文字に置き換えるための入り口」を見つけることだ。今回紹介した5つのステップは、まさにその入り口を作るための手順として組み立てている。話せる子は書ける。そのための橋渡しを、少しずつ作っていくイメージだ。

親やまわりの大人にできること

子どもが作文に取り組むとき、そばにいる大人の関わり方も大きく影響する。「もっとうまく書きなさい」「それじゃ伝わらない」という言葉は、悪意がなくても子どもの手を止めさせることがある。それより「書けたね」「この部分おもしろいね」という言葉の方が、次に書こうという気持ちにつながりやすい。

完成度を評価するより、書こうとした姿勢や、書き切ったという事実を認めることの方が、苦手意識を和らげる上では効果的だ。書くことへの安心感が育つと、子どもは自分から書こうとし始める。その変化は、外から急かしても生まれにくく、内側からじわじわと育っていくものだ。

「書けない自分」は、ずっと続かない

作文が苦手な子の多くは、「自分は文章が書けない人間だ」という思い込みを、どこかで抱えている。でもそれは生まれつきの特性ではなく、書き方の入り口を知らなかっただけのことがほとんどだ。入り口を知って、一度書き切る体験をすれば、その思い込みは少しずつほぐれていく。

今日書いた一文が、明日の作文を少し楽にする。その積み重ねが、半年後・一年後の「書けるようになった」につながっていく。最初の一文を書いた日を、ぜひ小さなお祝いの日にしてほしい。そこから何かが動き始める。

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